無花果-イ・チ・ジ・ク 漫画ネタバレ結末ブログ

坂辺周一作の漫画「無花果-イ・チ・ジ・ク」のネタバレ・結末・試し読み・あらすじ・感想をまとめたブログ。

阿部定事件~ふたりの女~ネタバレ結末(2)安武わたる

阿部定と共に職人町で育った幼馴染のお栄。

美人でモテる定に内心では嫉妬を感じていたものの、K大生に襲われたことをきっかけに身を持ち崩し、転落していった定を心配する心は本当でした。

父親に勘当同然で芸者に売られていった定を思いながら、お栄もまた結婚して家庭をもつようになります。そしてひょんなことから定と再会することに・・・

「阿部定事件~ふたりの女~」のあらすじ・2


作品名:「阿部定事件~ふたりの女~」

作者:安武わたる

 

嫁いで苦労するお栄


阿部定が去ったあと、お栄は関東大震災で父を失い、家も焼け出されて立ち行かず、実家の援助と引き換えに三沢建造という男性と結婚。

お互いに好きでもなんでもない結婚とあって、夫からは乱暴に扱われ、姑からはイビられる毎日が始まる。



「グズな嫁だよ!嫁膳のおかずが多すぎ!!」

ケチで意地悪な姑は、細かいことまでケチをつけてきて、心の休まる暇もない。

しかし、三沢家には実家を援助してくれているという恩があり、逆らえない。

定の噂話を聞く


久しぶりにあった母から、定のその後の消息を聞く。

芸者になるためにおいてもらった遠縁の主人とねんごろになり、震災で焼け出されたその家のために芸者仲間の持ち物を盗んで警察の厄介になった、と。


定はもともと子供の頃から修行をしてきたわけではなく、芸者としても芸がない。身を立てるには枕芸者になるしかなく、堕落した生活をしているのだという。

嬉しそうに定の悪口を言う母を見ながらも、どこかホッとしてしまうお栄。



真面目に生きている自分は間違っていない。定のように浮ついた人生を生きれば、それなりの報いを受けるのだ、と言い聞かせる。

あたしはそんなバカな真似はしない。あたしのほうが、マシなんだ、と。

夫の女遊びで定と再会


やがて子供も生まれ、家庭が落ち着いてきたころに姑は寝たきりになり、夫は何かと口実をつくっては外で夜遊びするようになった。

真夜中に酔っ払って帰ってきては、白粉の匂いをプンプンさせて帰宅する夫。



浮気しているのはわかっていたが、乱暴な建造との夜の生活を思うと別にかまわない、と思う。

ある夜、料亭・吉田屋から「ツケはきかないと言っているのに暴れている」と連絡があり、引取にいったお栄。



迎えに行くと管を巻く夫をなだめながら、頭を下げて帰ろうとしたところ、店の奥から出てきた女中は定だった。

「定ちゃん!?」

お互いに驚いたふたりは、翌日お茶をする約束をする。

愛される女の幸せを語る定に嫉妬するお栄


あんなところで会えるなんて驚いた、と話し合うふたり。

「すっかりカタギの奥さんで、うらやましい」

そう言われて悪い気がしないお栄は、「そりゃ、道を外れたお定ちゃんには望めない立場だものね」と鼻を高くしていた。



「娼妓にまで堕ちちゃったんだけどね。水商売しかできないだろ、あたし?ひととりこなしちまったよ」

今までのひどい出来事を、なんでもないことのように話す定に、「あたしのほうがマシ」と自分と比べるお栄。



だが、定が知り合った男から店を持たせてくれるとにこやかに話したり、「男に助けてもらってるんだよねえ、あたし」と女に生まれていろいろヤなこともあったけれど、その分男に助けられていると自慢した。

そして、「吉田屋のご主人、吉蔵さん」と、中年ながら渋い男を紹介した。少女時代のように、「あたしのいい人」とコソッとお栄に耳打ちしながら。



「いつも極楽に連れて行かれるのよ、あたし」

恥ずかしげもなく秘め事を自慢する定に、赤くなるお栄。



「やっと巡り会えたのよ。あたしを愛して、大事にしてくれる男」

けれど、吉蔵に寄り添った定は少女のように嬉しそうに頬を染めて去っていった。

「まっとうな人生」なんかいらない!


仲のいい男女のアツアツっぷりを見せつけられて、当てられたお栄はトボトボと自宅に帰る。

帰るなり「遅いじゃないか!」と酒を飲みながら怒鳴りつけてくる夫、そして「どこで油売ってたんだい?早くおしめ取り替えとくれ!!」と命令する姑がいた。

息子たちが帰ってくると「母ちゃんお腹すいた、おやつ」とねだる。



定のあの「女として幸せそうな顔」に比べ、自分は愛のない家族にこき使われるだけの化粧っ気もない不器量な女だと思い知らされた。

「うるさい!何もかもあたしに押し付けるな!!」

今までのうっぷんが爆発し、怒鳴るお栄だったが、夫は「馬鹿野郎!それが女房のつとめだろうが!」と殴りつけ、出て行く。

みじめな気分になったお栄は、母親が幼いころから自分に言い聞かせてきた「まっとうな人生」が、いかにつまらないものなのかしみじみと実感する。

吉田屋のおかみに密告するお栄


キレてはみたものの、つまらない人生が変わることはない。

やるせない気持ちを抱えながら、お栄は胸の中にうずまくどす黒い嫉妬に突き動かされて、その憎悪を友達のはずの定に向けてしまう。

「もしもし、吉田屋さん? おかみさんですか?
お宅のご主人、定って女中とデキてますよ」

と電話して、誰とも名乗らずに切ってしまった。



これで、定は幸せそうな笑顔を向けていたあの男を失うハズ・・・

半分正気を失っていたお栄は、自宅に女を連れ込んできた夫を発見して刃物を振り回し、今まで自分を散々バカにしてきた夫と姑の肝を冷やす。



その後、お栄が目論んだとおり、ふたりの仲がおかみにバレてしまい、阿部定と石田吉蔵は吉田屋を出奔する。

つぎにつづきます。

 

その3

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