無花果-イ・チ・ジ・ク 漫画ネタバレ結末ブログ

坂辺周一作の漫画「無花果-イ・チ・ジ・ク」のネタバレ・結末・試し読み・あらすじ・感想をまとめたブログ。

からゆき哀歌のネタバレ第一話「南洋の撫子~からゆきさんの物語」

漫画「からゆき哀歌~異国に売られた日本の女たち~(安武わたる作)」は、女性の権利が著しく低かった時代に貧しさから海外へ働きに出て「からゆきさん」として身を売るしかなかった女性や、奴隷のように扱われたり、虐げられた女の哀しい運命を描いた作品集です。

第一話の「南洋の撫子~からゆきさんの物語~」のあらすじと感想をご案内致します。


作品名:「からゆき哀歌~異国に売られた日本の女たち~」

作者:安武わたる

 

からゆき哀歌の第一話ネタバレ「南洋の撫子~からゆきさんの物語」

南洋へ出稼ぎに密航者となる女たち


貧しく、娘を売らなければ生きていけないほどの寂れた村で育ったミキとゆり。

ふたりは、たった13歳で親に売られ、人買いに連れられて南洋へ行く船に密航者として乗せられた。



自分が行けば、家族に毎月たっぷり仕送りができるのだと聞かされ、外国で何をさせられるのかも知らぬままに外地行きを承諾したミキ。

幼馴染のゆりは大人しい泣きべそかきな性格で、気が強いミキは妹のように思っており「大丈夫!ゆりちゃんのことはうちが守るけん!」と励ました。

うんと稼いでふたりで必ず故郷へ帰ろう、と外国船に乗り込んだが、密航生活はひどいものだった。

船で少年・セイと出会う


十数人の少女たちがこっそりと船の底に閉じ込められ、「めっかったらひどい目にあうからな!」と人買いが怒鳴った。

真っ暗でひどい臭いが漂う場所で、水が欲しくなったミキは外へ出てしまう。だが、すぐに水夫に見つかってしまった。



「船員にめっかれば、海へ捨てられる!」

そう思ったミキは逃げようとしたが、相手は少年で「静かにせぇ、密航の女じゃろ」と故郷のなまりで話しかけてきた。

少年の名前は誠之助。セイさん、とミキは呼び、話し合ううちに同郷だとわかる。



セイは雑役夫として雇われており、ミキの堂々とした態度を見て「おめぇ、度胸あるなあ。密航は何度もあっちゅうが、はいだしてきたおなごは初めてじゃ」と、あきれたように笑った。

ミキは人買いに怒られて叩かれたが、セイがかばってくれて水や食料を内緒で調達してやる、と約束してくれた。

いきなり客を取らされる少女たち


一ヶ月後、不潔な船倉暮らしに耐えてやっとマレー半島ペナンに到着した。

こっそりと上陸しなければならなかったため、世話になっていたセイにお別れの挨拶すらできなかった。



南洋の地らしく、太陽は明るく輝き、秋だというのに暑くてヤシの木が揺れていた。

人買いは「南洋のあちこちに日本女性が進出しとる。頼もしい限りじゃ」と話し、早速二人を旅館につれていく。

「奉公って何すると?」

「おなご仕事じゃ」

ミキは、ここに至っても自分の仕事内容を理解していなかった。



だが旅館について主が「今日からすぐ働けるのぉ」と、綺麗な着物を着せて化粧をさせられ、部屋で言われたとおりに待っていた。

すると、金髪碧眼の紳士が入ってきた。



ミキとゆりの悲鳴を聞いて、主たちは

「水揚げだから、大枚はたいてくれとっじゃぞ」

「初めての子が泣くのがたまらん、ちゅう客は多いからの」

と、死にそうな悲鳴を上げ続ける少女たちに同情もせず、金の勘定を続けていた。

辛い日々を乗り越えようとするミキ


「おなご仕事」がどんなものなのか、身をもって教えられたミキは「客をとりたくない!」と抗議した。

まるで体が裂けて、殺されるのではないかと思ったくらいの苦痛を味わい、ミキは二度とこんなことをしたくないと心から思った。



だが、主は「ではどうして借銭を返す?」と怒り、昨日の白人・オルセンがミキを気に入ったから今夜も来るのだ、と話す。

やらないと言うのなら、飯抜き、お仕置きだ、と針を持ち出して爪の間に刺してミキを拷問した。

「見えるとこは傷めん。爪をだせ」

商品だから痛めつけられはしなかったが、その拷問の苦痛に耐えきれず、ミキは言うことを聞くしかなかった。



「こんなのが『おなご仕事』か・・・?」

おぞましい行為を強いられながらも、生き抜くためにミキは言葉を覚え、客を喜ばせるために悦ぶフリをするようになっていった。

すると客付きもよくなり、主たちからも「ミキはようやりますねぇ」と褒められるようになった。

 

けれども、ゆりはミキのようには慣れず、いつまでたってもメソメソと泣き続け、客から苦情が出る始末だった。

女将に叱られて折檻され、ごはん抜きにされたゆりのために、ミキは裏でこっそりと食べ物を与えていた。

セイと再び出会い、恋人になる


覚えた現地の言葉を使い、店の前で客引きをしていたミキは、、人混みの中からセイを見つけた。

「セイさん!?」

「ミキか!? きれぇになったなあ」

出会った頃とは違い、体も成長して綺麗な着物を着ているミキを見て、セイは目を見張った。

「じつは、陸にあがるたびに探しとった。もいっぺん、会いとうて」

密航した船で助けてくれた恩人ということもあったが、ミキもまたセイに惹かれていた。



胸がキューッと苦しくなり、心臓が高鳴る。これが恋、というものなのか。

「あんた、女知っとんのか?」と誘うミキに「バカにすんな!」と、いつもは嫌でたまらないのに、ミキは初めて好きになった男性とあって、ちっとも嫌ではなかった。

ふたりで逃げよう、というセイ


地獄のようなおなご仕事とはいえ、好きな男ができたことでミキは色香漂い、「せっせと稼いで、借銭返して、セイさんと店もてるくれぇに貯めにゃあ」と前向きに仕事をこなすようになっていた。

それに比べ、辛気臭い顔をして客もつかず、風邪ばかり引いているゆりは厄介者扱いされていた。

ガシガシ稼ぐミキに、ゆりは「うちを置いていく・・・?」と尋ねるが、「うちがゆりちゃん置いてくわけなかと!ゆりちゃんも自由になれるように、うち、がんばるけん」と優しく抱きしめた。

 


セイはミキのそばにいるために船員をやめて現地で店員をして、ためた金で会いに来ていた。

「わしら、いつになったら一緒になれっとじゃろ」

金が貯まらないうちは、身請けなどできない。

 

嘆くセイに、ミキは会いに来てくれるだけでいい、「どんだけうちがありがてぇと思っとるか」と、心の支えになってくれるだけで十分だと話す。

「いっそ逃げねえか? わしゃ、我慢でけん」

仕事だから仕方がないこととはいえ、セイは自分の恋人が女郎としてほかの男に触れられることが耐えきれなくなっていたのだった。

身請け話で喧嘩になる


ところが、ミキに身請け話が来てしまった。

ミキを気にっているオルセンが、シンガポールへ行くので妾として連れてゆきたいのだ、という。



「女郎の出世だ」と喜ぶ主たちだったが、この地を離れて奉公するなどセイが嫌がるに決まっている。

断りたいミキだったが、「おまえの借銭はチャラ、月に千円のお手当て」が出ると聞いて、それだけの金があればゆりのぶんの借銭も返せる、と妾奉公の話を承諾してしまった。



ミキがその話を打ち明ける前に、なぜかセイが怒鳴り込んできた。

「妾奉公に行くんじゃと!? わしを捨ててゆくんじゃな!?」

「お願い、辛抱して。数年我慢すれば、大金が入る。あんたと少しでん早く、夫婦になるためじゃ」

たった数年働けば、借金もゼロ、ゆりも解放して、セイと夫婦になり二人で店でも持てるようになれる、と説得するミキだったがセイは聞く耳持たず「おまえはわしよりも金を選んだんじゃ!」と、怒ったまま去っていった。

ゆりと逃げるセイ


なしてわかってくれんと・・・?

みんなが幸せになれる道を選ぼうとしただけなのに、わかってくれないセイを思いながらも妾奉公の準備を始めるミキ。

「ミキちゃん、おめでとう」

来月にはシンガポールへ旅立つミキに、ゆりが祝いの言葉を言いにやってきた。



「早うあんたも自由にしてもらえるよう、うちゃ、がんばるけんね」

一緒に買物にでも行こう、と誘うがゆりは具合が悪いと断る。



そして街に買い物に出たミキが見たものは、ゆりと一緒に逃げようとするセイの姿だった。

「あん船ば乗ると?」
「そうじゃ、早く乗らんと追っ手が来る」

逃避行の相談をするふたりに、愕然とするミキ。

娼館から逃げ出したゆりは、セイとふたりで日本へ帰ろうというのだ。



ゆりは泣きながら詫び、「ずっとセイさんを好いとったんじゃ」と初めて秘めた恋心を告白した。

ミキは自分でなんでもできるから、うらやましく、憎らしかった、というゆり。

それを聞いて、妾の件をセイに伝えたのはゆりだったのか、とミキは気づいた。

そしてゆりの思いを知ったセイは、胸の病のこともあり同情して日本へ帰してやりたいと思うようになったのだった。

強い女だからひとりでも平気?


「ミキは強かおなごじゃ。わしがいなくてん、大丈夫じゃ」

ゆりはか弱い女だから、自分がいてやらなければならない、というセイ。

ミキはそんなふたりを見て決心した。

「フン。餞別じゃ、うちの支度金くれてやる」

そう言って大金を与え、「あんたがもろうてくれるっちゅうなら、ノシつけてやるわ」と言い放った。



それはもちろん、ミキの本心ではなかった。

ふたりが心置きなく日本へ旅立てるように、悪女のように振る舞ってみせただけ。

「うちゃ、ふたりに捨てられたんじゃな」

ゆりが足抜けしたことで大騒ぎになる中で、ミキはひとり異国に残された孤独と喪失感で声をあげて泣いた。

※結末はあなた自身で読んでみてくださいね。

 

第一話「南洋の撫子」感想


男から「強い女」と思われるがゆえに、「この女なら自分がいなくても、ひとりでやっていけるだろう」と手放されてしまったミキ。

辛い最低の境遇にもめげず、前向きに「おなご仕事」に取り組んできたミキでしたが、最後の最後で幸せをつかんだのはメソメソ泣いていたかばわれるだけの女・ゆりだった、というちょっと後味の悪いお話でした。



ミキのかわいそうなところは、恋人を取られてしまったというだけではなく、幼い頃からずっと妹のように可愛がり見守ってきたゆりに男が原因で裏切られてしまった、という点です。これはかなりキツイと思います。

「芯の強い女性」って、結構恋愛下手なところがあって、頑張りがミキのように裏目に出ることが多々あります。

ゆりはその点、甘え上手な女なんでしょうね。「愛され女子テク」という視点から見れば、ゆりの勝ちです。頼るのが下手な女は、男に逃げられる(笑)



でも、最後まで筋を通したのはミキで、ゆりとセイは借金もうっちゃって「あとよろ」で逃げ出してしまった人たちでしかありません。人として立派なのは言うまでもなく、ミキです。

辛い苦行であっても、借金はきっちり返し仕事も投げ出さずに勤め上げる。

 

「からゆきさん」だったミキのその後は想像にまかせるしかありませんが、無事に帰国して日本で幸せになったらいいなあと応援したくなるお話でした。

 

第2話の感想

www.alal5.com