無花果-イ・チ・ジ・ク 漫画ネタバレ結末ブログ

坂辺周一作の漫画「無花果-イ・チ・ジ・ク」のネタバレ・結末・試し読み・あらすじ・感想をまとめたブログ。

からゆき哀歌のネタバレ 第3話「囚われの羽衣」安武わたる

漫画「からゆき哀歌~異国に売られた日本の女たち~(安武わたる作)」で、管理人がもっとも印象に残った作品。

鎌倉時代のころ、公家の権力が失墜して武家社会となり、公家のお姫様が無理やり武士の妾にさせられるお話。



その姫君は羽衣伝説の「天女」の血を引いており・・・という神秘的なストーリーになっています。

第3話の「囚われの羽衣」のあらすじと感想をご案内致します。

 

 からゆき哀歌の第3話ネタバレ「囚われの羽衣」

天女の血を引く公家の姫が武家に輿入れ


承久3年、帝を頂点とする公家社会が落ちぶれるきっかけとなった「承久の乱」のあと、神達家の姫・紗衣もまた、権力を失った公家の姫としてその高貴な血を欲しがる武家に無理やり嫁がされた。

本来はお取り潰しになるところを、小松家に輿入れすることでようやくながらえたのであった。



古来より続く神達家は、伝説の天女の血を引く家柄。

婿となる小松家嫡男の義成は無骨な男で、輿に乗ってやってきた姫を馬でさらい、婚礼のお披露目もせぬままに閨へ運んだ。

「味わわせてもらおうか、天女の血とやらを」

正妻待遇とはいえ、親は罪人として捕らえられており、どんな無体を強いられても紗衣には為す術もない。

あこねの方のいびり


義成にはすでにあこねの方がいた。派手な遊女あがりの女で、お飾りとはいえ正妻に据えられた紗衣に敵愾心を燃やしていた。

「あたしは義成様の一番のお気に入り。
せいぜい、若殿に捨てられぬようにね。奥方には、帰る家もないそうですから」

なんと下品な女だろう、と乳母は言うが、紗衣は我が身の不運を受け入れており、動じない。



「今となっては、この家宝のみが神達家をしのぶよすがなのですから」

家に代々伝わるそれは、「天女の羽衣」。それだけが、紗衣に残されたすべてだった。

義成の弟に慰められる


義成の弟・義澄は、兄と違って気立ての優しい繊細な少年であった。

時代の流れとはいえ、不遇の身でやってきた姫君を哀れに思い、せめてもの慰めに、と籠の鳥をお祝いに紗衣に贈った。

「義姉上のお慰めになろうと思って」

この家に嫁いできて、初めて人間らしい温かい言葉をかけられ、涙ぐむ紗衣。


正妻のお披露目の儀で、さすが公家の姫とあって気品ある受け答えする紗衣に、家臣たちも感心する。

だが、それを快く思わないあこねの方が、紗衣の羽衣を手にとって盗ろうとした。



その時だけ、紗衣は人が変わったような冷たい声音で言った。

「あなたには用がないものです。お返しなさい」

妙な迫力に気圧され、ひるんで逃げるように去っていくあこね。

義澄はあこねから紗衣をかばい、「私の味方は、本当にあなただけ・・・」とすすり泣く。

事件のあと、人が変わった紗衣


だが、とうとう事件が起こる。

義成はあこねにそそのかされて、紗衣をたくさんの家臣たちの目の前であられもない姿にさせられた。

あまりの破廉恥さに耐えられない紗衣。さらに、あこねは目の前で家宝の羽衣を火で焼いてしまった。



義成のあまりの無体に気を失って数日眠り続けた紗衣は、目が覚めると以前とは違う感じになっていた。

内気だった深窓の姫が、物怖じしない色香漂う女性になっていたのだ。

嫌がっていた夫との寝所での勤めも、「どうぞこれからもかわいがってくださいませ」と自ら義成をとりこにする。



そして不埒者が入ってきた、と寝所に来た家臣を懐剣で刺してしまう。

ますます義成は妻に執着し、紗衣に溺れていくようになる。

暴かれる紗衣の本性

紗衣がシカの生肝をねだり、義成が狩りに出たが落馬してしまい、全身麻痺で口も聞けない体になってしまった。

甲斐甲斐しく、妻として義成の世話をする紗衣だったが、夫の口元に運ぶ粥はやけどするほどに熱いままだった。声を出せない義成は泣きながら熱すぎる粥を食べさせられていた。



そして義澄の目の前で、紗衣はいきなりあこねを切る。優しいはずの義姉の恐ろしい振る舞いに、ふるえる義澄に紗衣はあこねを始末するように命じる。

「よくやったわ。いい子ね、義澄」

天女の封印は解かれた


乳母は、あの家宝の羽衣が紗衣の「封印」であると知っていた。

神達家の血筋には時折、「楽しみ」のために命を奪う、人の心を持たぬものが生まれてきてしまうのだという。



徳の高い僧侶に紗衣の中にある「悪霊」を取り出して羽衣に封じていたのだ。羽衣が焼かれ、封印は解けてしまった・・・

「もう乳母は止めはしませぬ。あなたさまは、こういう形で神達家の再興をお図りになったのですね」


乳母はそう言ったが、紗衣にはお家などどうでも良かった。

人の心を持たぬ、「天女」の子孫である紗衣は、かわいい獲物たちを見ながら優雅に微笑んでいた。

第3話の感想


天女の血を引く公家の姫君、というファンタジックな設定なのに関わらず、結末はサイコホラー、というなかなか読み応えがあるお話でした。

大昔なら「悪霊憑き」ですが、今の言葉で言うのなら「サイコパス」でしょうか。



平気で嘘をつき、罪悪感なく楽しみで人をあやめていくようになってしまう人の心を失った紗衣は、ゾッとしてしまいますが同時に美しくもあります。

清らかでおとなしい善良な姫、だったころには悪人たちに蹂躙されるだけの日々を過ごしていましたが、天女モードに変身後は全員バッサバッサと無双ぶりです。ある意味、スカッとしました。

からゆき哀歌の中で、地味に一番印象的で面白かったお話です。

 

4話ネタバレ

www.alal5.com